無量大数、不可説不可説転、命数法の謎。


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問題: 不可説不可説転は 10 の何乗でしょう?


ということに興味を持って、ちょっと調べてみた。

一、十、百、千、万、億、兆、・・・・、無量大数、・・・・・、不可説不可説転

と進んで、どのくらい大きな数になっているのだろう。

続きを開くと正解が書いてあるので考え中の人は押さないでね。







正解: 10の(3.7×10の37乗)乗


これはいくらなんでも大きすぎだろ。万、億、兆・・・と増えていった場合 9.25×10の36乗 個の数の名前がないと足りないはずだ、しかし実際は123個しかないのである。何故だ、どうやったら123個でそれ程までに大きくなるのだ。

調べてみた。



まずこれが我々が普段使っている数だ。


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数の名前の付け方を命数法というらしいのだが、一 ~ 万までは十進に従った命数法になっており、万 ~ 無量大数までは万進に従った命数法だ。このルールのまま進んでいって指数の部分が3.7×10の37乗になるのは無理、ではないけど、実質無理だ。

では不可説不可説転はどこから出てきているのか。


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実は不可説不可説転は無量大数の続きには存在しておらず、体系が別の数だったのだ。

洛叉が10万で、その100倍が倶胝、ここだけルールが謎なのだが、ここから先は同じルールだ、倶胝 × 倶胝 = 阿ゆ多、阿ゆ多 × 阿ゆ多 = 那由他、・・・、というルールに従った命数法になっている。このルールを上数というらしい。数学的に言うと2乗の2乗の2乗の・・・という計算になる。10の7乗からスタートして121回2乗すると不可説不可説転になる。

この指数部分だけを計算すると3.7×10の37乗になるという訳だ。



スッキリした、と言いたいところだが1つ引っかかることが残っている、洛叉から倶胝だけ100倍なのは何故だろうか、ここのルールはどうなっているんだ。


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洛叉というのはインドの命数法のラークから来ており、インドの命数法は百進になっている、つまり100倍だ。どういう訳か最初の1つだけは借りてきたインドの命数法に従って、そこから急にオリジナリティを出したらしい。

なんだそれ、と思うが、これも仕方がないことで、洛叉より先の命数法というのは数学のために考えられたものではないからだ、こんな体系で数学をやらされたら面倒くさい事この上ないが、どうやら説教するために考えられた命数法のようだ。


我々が普段使っている万進の数の元になっているのは算学啓蒙という書物で、こいつは中国の数学書らしい、数学書だ、数学をするために考えられているのだろう、無量大数などの名前は仏教用語から借りてきているようだが、名前を借りただけで特にそれ以上の意味はないようだ。

一方、洛叉から始まる上数を使う命数法は華厳経に由来するらしい、こいつは大乗仏教経典ということだ、経典だ。計算する目的で書かれた訳ではないだろう、おそらく大きい数を表現する目的が計算したいわけではなく説教したいのだ。

そうであれば納得だ、確かに倶胝 × 倶胝 = 阿ゆ多、阿ゆ多 × 阿ゆ多 = 那由他というルールは数学的ではない、どう考えても使いづらい、しかし直感的に大きい数を作っていくのにはわかりやすいルールだと言えるかもしれない。

無量大数 = 頻波羅 × 倶胝 × 洛叉だって知ってた?
と明日皆に自慢しよう。